初心者でもわかる!ウェブ広告の種類とメリット・デメリットを徹底解説

3つの視点から分類したウェブ広告
web広告は同じものを指すのに別々の呼び方をされることがあります。
例えばリスティング広告はクリックごとに課金されるので、PPC広告の一種です。
そしてリターゲティング広告ではありません。
しかし、例外的にリターゲティングリストをもとにしたリスティング広告があるので、
リターゲティングの仕組みを使っているとも言えます。
すでに何を言っているかわかりませんね?
僕も書いていて混乱してきます。
今回はそんな混乱を少しでも解消するべく
分類してみました。
今回の分類を抑えておけば、
とりあえずweb広告の8割は把握できるでしょう。
web広告の3つの分類
最初に言った通り、web広告は同じものでも、
切り口によって別々の呼び方をされます。
なのでMECE(抜けなくもれなくダブリなく)というわけにはいきません。
大事なのはそれをどんな切り口でみるか、ということです。
それも個別具体的にばらばらにみるのではなく、
なるべく切り口自体は少なくしなければいけません。
かつウェブ広告を網羅していなければなりません。
そうでないと、結局混乱したままになるからです。
今回の分類がだれにとっても正しいかは分かりません。
しかし記憶の補助には役立つでしょう。
具体的には3つの根本的な問いから分類をしました。
- どこに広告を出すか?
- 誰に広告を見せるか?
- どのような広告内容にするか?
の3つです。
言い換えると、
- 配信場所による分類
- ターゲティング手法による分類
- 広告内容の作られ方による分類
といえます。
①ウェブ広告の配信場所による分類
広告を見る「場所」によって、ユーザーの心理状態は違います。
よって、適切な場所で広告を出さないと、
広告の効果が大幅に落ちてしまいます。
具体的には・・・
- 広告費の無駄が発生する
- 成果につながらない
- ブランドイメージが悪化する
- 適切な評価ができない恐れ
という悪影響が考えられます。
✅広告費の無駄
見込み客ではない人に広告が表示されれば、当然クリックしてもらえません。
ギターを売ろうとしている人に、
プリンを簡単に作れますみたいな広告を見せても無意味です。
広告が表示されるたびに費用が発生する方式の場合、
そのような人に広告を表示しても費用の無駄です。
✅成果につながらない
関心のない人に広告が表示されることの問題は、
広告費の無駄だけではありません。
ウェブ広告では単純にお金をかければ表示されるというものではありません。
広告費に加えて、品質スコアが重要となります。
品質スコアとはクリック率(広告を見てどれだけクリックされたか)や
コンバージョン率(クリックした先でどれだけ成約したか)
などから決まります。
※正確には重要なのはクリック率で、コンバージョン率は間接的な要素です。
しかしコンバージョン率が高ければクリック率も高いので、
ここではそういうことにします。
品質スコアが下がれば、実は広告費が上がってしまいます。
それは、Googleがそのような広告を表示するのを嫌うからです。
ユーザーが知りたい情報とそのコンテンツの提供の最適化。
それがGoogleの、Googleをはじめとした検索エンジンの会社の最大の事業目標です。
よって品質の悪い広告を出せば、
もともと低かったクリック率もコンバージョン率も下がり続けます。
✅ブランドイメージが悪化する
関連性のない広告が表示されればユーザーに不快感を与えます。
むやみやたらにアピールしてくる押し売り営業マンが煙たがられるように、
そのような広告を出してくる企業も、煙たがられます。
✅適切な評価ができない
正しい場所に出してこそ、広告の効果が評価できます。
しかし場所をきちんと選定していないと、
そもそも場所が悪いのか、
広告文が悪いのか分かりません。
つまり、改善ができないため次の施策が打てなくなります。
ウェブ広告は単に広告を出すだけではだめです。
適切な人に
適切なタイミングで
適切なメッセージを届けなければいけません。
では具体的にどんな場所があり、
どんなタイミング、人がその場所に集まっているのでしょうか?
広告を出す4つの場所
ウェブ広告を場所で分けたとき、およそ4つに分けられます
- 検索広告(リスティング広告)
- ディスプレイ広告
- SNS広告
- 動画広告
の4つです。
順番に解説していきます。
✅検索広告(リスティング広告)
Googleやyahoo!などの検索ページにテキスト形式で表示される広告です。

検索したときに、最初に出てくるこの【スポンサー】という文字付きのリンクがリスティング広告です。
特定の語句で検索する人は、当然そのテーマについて関心を持っているので、
購買意欲が高いユーザーにアプローチできます。
なので比較的早くコンバージョン(購入や問い合わせなどの具体的な行動)に結びつきやすいです。
例えば鍵の紛失、水回りのトラブル、不用品回収など、
緊急性が高い商材や、知名度の高い商材、ニッチな商材などが向いています。
もちろん高単価な商材でも十分な利益が見込めます。
逆に潜在層に広くアピールしたい、という人にはアピールしにくいかもしれません。
またテキスト主体なので、視覚的にイメージを伝えたい場合は使えません。
✅ディスプレイ広告
様々なウェブサイト、
- ニュースサイト
- ブログ
- アプリetc...
の中に表示される広告です。
主に画像や動画を使います。
リスティング広告とは逆に、潜在層にアピールしたい広告主はディスプレイ広告を使うとよいでしょう。
また視覚的に訴えかけるのが効果的な商品の場合、これを使うといいです。
例えばスーパーなどにおいてあって見た目勝負な商材、
化粧品、健康食品といった低単価なものはディスプレイ広告で視覚的に訴えかけるとよいです。
リスティング広告ではそういったものは伝えられません。
また単に認知を広めたい商材、検討期間が長い商材を扱っているならディスプレイ広告です。
これはのちに説明するリターゲティングという仕組みと組み合わせることで、
繰り返し情報を届けることで、記憶の定着を目指します。
逆に向いていないのは即座の購入を促したい場合です。
ディスプレイ広告は特定の目的をもって見ているわけではないので、
購買意欲が低いからです。
ただし、その辺は広告主のセールスの実力によるといえます。
なんとなくでクリックしても、
クリックした先のセールスページで購買意欲が高められれば購買してくれるかもしれません。
✅SNS広告
- x
- LINE etc...
などのSNSのタイムラインやストーリーズに表示される広告です。
大雑把に分けるなら、SNS広告もディスプレイ広告です。
同じように視覚的に訴えかけられます。
しかしウェブ広告の中でも、特にSNS広告の役割は重要になっているので、
多くの場合、ディスプレイ広告とは違う、独立したカテゴリーとして語られます。
そしてディスプレイ広告との最大の違いは、
ターゲティングの制度です。
ディスプレイ広告は主にサイトのコンテンツの内容やクッキー情報に依存します。
つまり、ユーザーとあまりマッチした広告が出てきません。
一方SNSではユーザーがそのSNSに自ら入力した情報を基にして広告が出てくるので、
ユーザーの関心ごとにマッチした広告が出てきます。
特に現代ではデモグラフィック情報(年齢・性別といった人口統計的な属性)ではなく、
サイコグラフィック情報(価値観やライフスタイルなどの心理的側面)のほうがマーケティング的に重要になってきています。
SNSはまさに、そういうサイコグラフィック的な側面でコミュニティが出来上がっています。
よってSNS広告は高い効果が期待できるのです。
SNS広告は視覚的に魅力的な商材はもちろん、
BtoBの分野でも活躍できます。
またSNSという場所の特性上、話題性があるような商材だとバズる(口コミ)ことが期待できるので、
さらに費用対効果は高くなるでしょう。
ただしどのSNSも同じように広告すればいいというわけではありません。
各SNSごとに年齢層も価値観も違います。
以下に主要SNSごとのターゲット特性を紹介します。
- 年齢層:30〜50代が中心
- 特徴:幅広い年齢層、実名制で信頼性が高い、家族・友人とのつながり重視
- 向いている商品:日用品、保険、不動産、BtoB商材
- 年齢層:20〜40代、特に女性が多い
- 特徴:視覚重視、おしゃれ・美容・ライフスタイル関心が高い
- 向いている商品:ファッション、化粧品、グルメ、旅行
X(旧Twitter)
- 年齢層:20〜40代
- 特徴:リアルタイム性、情報収集・発信意欲が高い、拡散力が強い
- 向いている商品:IT関連、エンタメ、イベント、時事性のある商品
TikTok
- 年齢層:10〜20代が中心
- 特徴:動画コンテンツ、エンタメ性重視、トレンドに敏感
- 向いている商品:若者向けファッション、化粧品、ゲーム、音楽
- 年齢層:30〜50代のビジネスパーソン
- 特徴:職業・業界情報が豊富、BtoBに強い
- 向いている商品:BtoB商材、転職サービス、ビジネス書、研修
LINE
- 年齢層:全年齢層(特に30〜50代が多い)
- 特徴:国内利用率90%超、日常的なコミュニケーションツール、家族・友人との密接な関係
- 向いている商品:地域密着型サービス、日用品、飲食店、クーポン配信
BtoBを使っているなら、Facebook,LinkedInで広告を出せばよいでしょう。
エンタメならX、飲食店ならLINEと、それぞれの特性に合わせて広告を出してください。
逆に年齢層があっているからと、デモグラフィック情報だけで広告を出稿しようとはしないでください。
SNSは年齢層よりも、価値観やライフスタイルのほうが重要です。
✅動画広告
youtubeやウェブサイトの動画コンテンツ内で再生される広告です。
こちらの調査によると、近年SNS広告と動画広告の伸びが顕著なようです。
日本のインターネット広告市場(2024年)において、各広告の割合は、
リスティング広告(検索連動型広告):40.3%
SNS広告(ソーシャル広告):37.2%
動画広告:28.5%
ディスプレイ広告:25.8%
となっています。
テキストベースのリスティング広告は依然として最大のシェアを誇ります。
しかし、ディスプレイ広告に代わって、
もっと視覚的にわかりやすく、かつ聴覚的要素を加えられる動画の成長トレンドは無視できるものではありません。
動画は今までテキストベース、画像ベースでは伝えきれなかった情報を伝えられます。
動画広告と言えばyoutubeです。
youtubeは動画広告の王道と言われるほど、高いシェアを誇っています。
ただし、近年はその他のプラットフォームも動画広告が成長しています。
TikTok,InstagramなどのSNSでは縦型の動画広告が急速に成長しています。
TVer,abema,Netflixなどの動画配信サービスも、
動画広告に力を入れ始めています。
youtube広告はリスティング広告のように特定の目的をもったユーザーをとらえられます。
それと同時に、ディスプレイ広告のように視覚的にアピールしつつ、
ディスプレイ広告にはない、聴覚的要素も加えてアピールできます。
それがyoutube広告が伸びている理由です。
SNSは「ながら見」の場所です。
よって、SNSの動画広告では、短尺でインパクトのある動画を流さないといけません。
また、動画という形式ですが、たいてい音声なしでそれらを見るため、
音声なしでも内容がわかるような動画を作らないといけません。
youtubeも動画配信サービスですが、
youtube以外の動画配信サービス、
TVer,abemaなどの動画配信サービスはyoutubeとは広告の出し方が違います。
これらの広告はVOD広告(VOD:Video On Demand)と呼ばれます。
youtube広告は直接キーワードを入札することで広告を出稿します。
VOD広告は大体は広告代理店を通して広告枠を購入します。
つまり、テレビCMとほとんど同じです。
ただしテレビCMとは明確に違う点があります。
テレビCMは圧倒的なリーチ力が強みです。
つまり、幅広い層、特定の関心を持たない層に認知を広げるのに役に立ちます。
VOD広告は特定の層にピンポイントで訴求します。
それはウェブ広告のデータに基づいたターゲティングという強みがあるからです。
つまり、テレビCMは幅広い層に認知を届けられる分、
莫大な予算が必要になります。
それに対しVOD広告はテレビCMのような形式を持ちながら、
最小限の費用で広告を出稿できます。
どちらを用いるべきかはその時々の判断です。
②ターゲティング手法による分類
今まで「どこで」広告を見せるかの視点で解説してきました。
今度は「誰に」広告を見せるかの視点で解説していきます
誰に広告を見せるか、つまり【ターゲティング】の視点からウェブ広告を分類したとき、
3種類の広告手法があります。
- リターゲティング広告
- 行動ターゲティング
- デモグラフィックターゲティング
正確に言えば、これらは広告の種類ではありません。
広告の手法です。
ですからこれらの手法は、
リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告、あらゆる種類のウェブ広告で使われています。
ですから本来はリターゲティング広告も「リターゲティング」と広告を付けないのが正しい呼び方です。
が、マーケティング手法として、このリターゲティングは、
ウェブ広告の世界で画期的な成果をもたらしました。
それゆえに、他の広告と一線を画す強力なマーケティング手法として広く認知されたのです。
そのため、リターゲティングという手法が、その手段を用いた広告の代名詞として定着しました。
また、その性質上ディスプレイ広告やSNS広告でよく使われます。
他の、例えばリスティング広告でも使われますが、
リスティング広告はすでに強い購買意欲を持つユーザーを狙うので、
リターゲティングの必要性がそこまで高くありません。
しかしディスプレイ広告、SNS広告は、
広告を見たからと言ってすぐに購入するとか限りません。
「ちょっといいな」と思っても、
すぐに別のサイトを見たり、別の情報収集を始めます。
つまり、興味が薄れていきます。
広告主はそれでは困るので、
繰り返し表示することで、
興味を持続させるのです。
それを前提としてください。
3つのターゲティング
✅リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、過去に一度、
自社のウェブサイトやアプリを訪問したことがある人に広告を配信する手法です。
【仕組み】
- ユーザーがウェブサイトにアクセスすると、
ブラウザに「Cookie(クッキー)」という情報が保存されます。 - そのユーザーが他のウェブサイトを閲覧しているとき、
Cookieの情報に基づいて、広告が表示されます
この仕組みにより、何度も同じ広告が表示されることにより、
記憶の定着、また購買タイミングを合わせた広告表示ができるわけです。
【向いている商材】
- 検討期間が長い商材:
不動産、自動車、結婚式場など。一度訪問したユーザーに繰り返し情報を届け、比較検討を促します。 - ECサイト:
カートに商品を入れたまま離脱したユーザーに、その商品の広告を表示して購入を促す「カゴ落ち対策」として非常に効果的です。
【向いていない商材】
- その場で即決するような低価格の商材:
衝動買いが前提の商材は、リターゲティングの必要性が低い場合があります。
✅行動ターゲティング
ユーザーのウェブ上での閲覧履歴や行動履歴から
興味・関心を推測し、関連性の高い広告を配信します。
Cookieの情報が主な要素ですが、それ以外の情報も活用します。
具体的にはアカウント情報、アプリの利用履歴などです。
例えばユーザーが「旅行」関連のサイトを複数回閲覧したり、
「キャンプ用品」を検索すると、
広告配信プラットフォームはそのユーザーを「旅行好き」「キャンプ好き」と判断して、
関連広告を表示します。
【向いている商材】
- 趣味やライフスタイルに特化した商材:
ゴルフ用品、釣り道具、料理教室など。 - ブランドの認知度を広めたい商材:
潜在的な顧客層にアプローチすることで、新たなファンを獲得できます。
【向いていない商材】
- 緊急性の高い商材:
「鍵をなくした」など、即座に解決策を探している人には、その場の検索に連動するリスティング広告の方が適しています。
✅デモグラフィックターゲティング
年齢、性別、居住地、家族構成、年収などのユーザーの基本属性に基づいて広告を配信する手法です。
Cookieは使われますが主な情報源ではありません。
広告配信プラットフォーム(Google広告、Yahoo!広告、Meta広告などのこと)が保有する
アカウント情報やIPアドレス、あるいは推測などから情報を取得します。
【向いている商材】
- 特定の年齢層向けの商品:
20代女性向けのアパレル、シニア向けの健康食品など。 - 地域限定のサービス:
地元の飲食店、不動産、病院など。
【向いていない商材】
- 幅広い層にアピールしたい商材:
ターゲットを絞り込みすぎると、かえってリーチが狭まる可能性があります。
✅組み合わせ
3つのターゲティングは組み合わせることができます。
例えば20代女性、東京、ファッション好き、というように、複数の条件を付けられます。
③広告内容の作られ方による分類
最後に広告の作られ方の視点で分類します。
この分類の仕方により、広告の役割と目的が明確になります。
作られ方は3種類あります。
- 静的広告
- 動的広告
- レスポンシブ広告
の3つです。
静的広告は広告の素材が固定されている広告です。
今はターゲットに合わせてどのような広告を表示するかを決められる時代です。
しかし静的広告はどのようなターゲットであっても同じ広告を表示するものを指します。
最も古い広告の種類です。
動的広告はユーザーの過去の行動に基づいて広告の内容が自動的に変化するものを指します。
これによりパーソナライズされた広告配信が可能となりました。
レスポンシブ広告は複数の素材をあらかじめ用意しておくと、
広告配信プラットフォームが自動的に最適な組み合わせを生成してくれるものを指します。
一番新しい広告方式です。
実際に、今主流なのはレスポンシブ広告です。
だからといって、静的広告や動的広告の役割がなくなったわけではありません。
3つの広告の役割はそれぞれ以下の通りです
- 静的広告:ブランドの顔、メッセージの旗手
- 動的広告:パーソナルなセールス担当者
- レスポンシブ広告:柔軟な広告クリエイター
その目的は以下の通りです。
- 静的広告:ブランドイメージの統一
- 動的広告:コンバージョンの最大化
- レスポンシブ広告:リーチの最大化、広告パフォーマンスの最適化
です。
まとめ
ウェブ広告の種類を覚えるために、3つの視点から分類しました
一つは場所の視点から
もう一つは誰にの視点から
最後に広告の作られ方の視点から
です
日進月歩で進化していくウェブ広告についていくのは大変です。
僕も学べば学ぶほどよくわからなくなってきます。
とりあえずは場所の視点からの4つの広告を覚えましょう。
事業を営むならこれで大体は十分なはずです。
仕組みについては頭の隅に入れておくだけでもいいでしょう。
何より大事なのは実際に運用することです。
仕組みに詳しければ広告がうまくなるわけではありません。
車の技術者がみなF1ドライバーになれるわけでもありません。
ただし最低でも抑えていなければいけない知識はあります。
つまり最低でも
- リスティング広告
- ディスプレイ広告、
- SNS広告
- 動画広告
は押さえておきましょう。