AIが広告文を自動生成!レスポンシブ検索広告とは?

広告運用に革命が起きた?

ネットで検索するときに普段からよく目にするこの部分

この部分をリスティング広告(検索連動型)と言います。

2024年の日本におけるリスティング広告市場規模は約1兆2,000億円。
インターネット広告媒体費の約40%以上をリスティング広告占めています。
そして日本の検索エンジンシェアの内、GoogleとYahoo!の2大検索エンジンが占めています。

ウェブの検索ワードと連動して広告が出てくるので、
ある意味もっとも基礎的なウェブ広告と言えるかもしれません。

そのリスティング広告において、実は革命的な出来事がありました。
そう、AIの登場です。

初期のリスティング広告はシンプルなテキスト広告でした。
表示できる文字数が少なく、見出し一つ、説明文一つという簡素な構成。
それは十分な情報を、ユーザーに伝えるのを難しくさせました。

そこで2016年、拡張テキスト広告というものが出てきます。
背景にはスマートフォンの登場があります。
これに伴い、広告に多くの情報を含める必要が出てきました。

なぜか?

パソコンが主流だった時代は、特定の場所でじっくりと情報収集をしていました。
それが、スマホの登場で、

  • 移動中:電車の中
  • お店の中:買い物中
  • テレビを見ながら:CMの商品をすぐに検索

するようになります。
これらの行動の瞬間、人は「知りたい」「買いたい」という欲求が非常に高い状態にあります。
この【マイクロモーメント】の瞬間に、広告で、できるだけの情報を与えたい、という需要がうまれたのです。

要は

スマホの普及により、ユーザーがより個人的で緊急性の高い検索をするようになった
👇
そのニーズにこたえるべく。広告も多くの情報を瞬時に伝えるように進化した

ということです。

それが、拡張テキスト広告です。
その特徴は、

  • 見出しが3つ。それぞれ最大30文字まで設定可能
  • 説明文が2つ。最大80文字まで設定可能

もちろん広告の情報量が多くなったことにより、広告効果は高まりました。
しかしそれ以上に、複数の広告パターンを用意して、広告効果をテスト(A/Bテスト)を行えるようになった、
それが拡張テキスト広告の最大の利点と言えます。

しかしそれは同時に広告運用のコストが増大したともいえます。

そして時代はさらにキーワードの多様化と複雑化が進み、
手動ですべての検索クエリ(検索する人のニーズを検索窓に言語化したもの)に対応するのは
なおさら困難になりました。

そこで登場したのが【レスポンシブ検索広告】(RSA:Responsive Search Ads)です。

レスポンシブ検索広告(RSA)とは?基本の仕組みを解説

RSAはまず見出しや説明文といった個々の要素を、【アセット】として登録します。

  • 見出し:最大15個まで
  • 説明文:最大4個まで

これらのアセットが、自動的に組み合わされ、広告として出稿されます。

具体例を挙げてみます。


レスポンシブ検索広告の実例イメージ

1. 英会話スクールの広告

  • 見出し候補(最大15個登録)
    • 「月額9,800円から学べる英会話」
    • 「無料体験レッスン受付中」
    • 「初心者歓迎・講師は全員ネイティブ」
    • 「駅チカ・夜9時まで営業」
    • 「TOEIC対策にも最適」
  • 説明文候補(最大4個登録)
    • 「初心者から上級者まで対応。自分に合ったコースが選べます。」
    • 「今なら入会金0円キャンペーン実施中。」
    • 「ビジネス英語から日常会話まで幅広く学べます。」

➡️ Googleが検索キーワードやユーザー属性に応じて、
「無料体験レッスン受付中 × 入会金0円キャンペーン」
のように自動で組み合わせて配信。
→ 「英会話を探しているが価格に敏感な人」にはキャンペーン訴求が出やすくなる。


2. 不動産会社の広告

  • 見出し候補
    • 「新築マンション特集」
    • 「今すぐ見学予約OK」
    • 「頭金0円から購入可能」
    • 「駅徒歩5分以内の物件多数」
    • 「家賃並みの支払いで持てるマイホーム」
  • 説明文候補
    • 「希望エリアの物件を豊富にご紹介。お気軽にお問い合わせください。」
    • 「オンライン相談も可能。来店不要で物件が探せます。」
    • 「住宅ローンのご相談も無料でサポートします。」

➡️ 住宅ローン関連のキーワードで検索した人には「頭金0円 × 住宅ローン相談無料」が組み合わされる。
➡️ 「新築マンション」検索なら「新築マンション特集 × 見学予約OK」が優先される。


3. 美容クリニックの広告

  • 見出し候補
    • 「二重整形モニター募集中」
    • 「症例実績10,000件以上」
    • 「カウンセリング無料」
    • 「最新の切らない施術」
    • 「明瞭価格で安心」
  • 説明文候補
    • 「経験豊富な医師が丁寧に対応。自然な仕上がりを追求します。」
    • 「学生・社会人向けのお得なプランあり。」
    • 「アフターケアも万全で安心して通えます。」

➡️ 「二重整形 安い」で検索 → 「モニター募集中 × 学生向けプラン」
➡️ 「二重整形 症例」で検索 → 「症例実績10,000件 × 自然な仕上がり」



このように、ユーザーの検索意図に合わせて、
登録したアセットの中から自動で選び出し、広告を表示します。

その際には、ユーザーの検索クエリ(検索窓に入力したキーワード)だけでなく、
ユーザーが使ったデバイス、過去の行動履歴といったものも考慮にいれます。

それらの判断を、GoogleだったらGoogleのAI・機械学習が、
yahooだったらyahooのAI・機械学習が行ってくれます。

※過去yahooはGoogleの検索エンジンを使っていたので、
今でもyahooがGoogleのシステムを使っていると思われがちですが、
少なくともレスポンシブ検索広告においては、
yahooはYahoo! JAPANの持つユーザーデータ
(検索履歴、購買傾向、Yahooショッピングなどの行動データ)を活用して最適化します。

RSAの3つのメリット

従来の拡張テキスト広告と比べて、RSAは3つのメリットがあります。

  1. AIによる自動最適化
  2. 表示機会の増加
  3. 運用工数の大幅削減と効率化

です。
一つずつ説明していきます。

①AIによる自動最適化

前述のとおり、RSAはAIのが膨大なデータに基づいて、
組み合わせを自動で選んでくれます。

その組み合わせとは、最も高い成果(クリック率、コンバージョン率)が見込める組み合わせです。

あるユーザーは価格かもしれないし、
別のユーザーは信頼性かもしれません。

手動のA/Bテストでは、これらのパターンを網羅することは不可能でした。
ユーザーがどんなキーワードで検索しても、広告文は常に同じ。
これにより検索クエリと広告の提供者との間で時間差によるミスマッチが起きていました。

しかしRSAはここにリアルタイム性を導入しました。

例えば同じ「英会話スクール」で検索されても…

「ビジネス英語 スクール」で検索 → 「ビジネス英語に強い × ネイティブ講師多数」
「無料体験 英会話」で検索 → 「無料体験受付中 × 今なら入会金0円」

➡️ 検索状況やユーザー属性ごとに、表示内容がリアルタイムで変わる

ということです。

これにより

  1. 検索意図に合わせて動的にマッチ
    → 同じ広告セットからでも、ユーザーごとに響くコピーを出し分け可能。
  2. テストが自動化
    → 広告主がA/Bテストを手動で回さなくても、AIが「勝ちパターン」を学習。
  3. 成果改善のスピードが速い
    → クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)の高い組み合わせが早期に見つかりやすい。

というメリットができました。

②表示機会の増加

従来の広告では広告文の内容と完全に一致するキーワードでないと、
広告が表示されにくいという課題がありました。

それを、RSAは複数のアセットを柔軟に組み合わせることで、対応します。

見出し・説明文を複数登録しているので、
そもそも従来よりも広い範囲の検索語句に対応できるというのもあります。
そして今まで説明した通り、自動でそれらをマッチングしてくれるAIシステムがあります。

そこに加えて、品質スコアの向上という要素が、表示機会の増加へつながります。

リスティング広告は単純にキーワードに対して一杯お金をだせば表示してくれるというものではありません。
そこに掛け算で、広告の品質が良いものであるかどうかも求められます。

品質が良いとは、単純に言うと、クリック率が高いかどうかです。

当然検索意図にマッチした広告文だとクリック率が高くなります。
そしてRSAは意図にマッチした広告文を掲載してくれます。

よってより広範囲の人へリーチしてくれるのです。

③運用工数の大幅削減と効率化

従来の拡張テキスト広告では複数の広告を手動で作成していました。
そして数週間かけて成果を分析し、よりよい広告に絞り込んでいました。

言うまでもなく、これは時間と労力がかかる作業です。

RSAはこのプロセスをAIが自動で行います。
運用者の労力は、最初にアセットを登録するだけ。

あとはAIが継続的に最適な組み合わせをテスト・最適化してくれます。

これにより、広告運用にかかる手間が大幅削減されました。
その分、戦略的な分析や新しいマーケティング施策の検討に集中できるようになったのです。


RSAで成果を出すための実践的活用法

先ほど運用者の労力は最初にアセットを登録するだけと言いました。
これは誤解を生むかもしれません。

このアセットには質の高いものを入れないとAIの学習能力を最大限に引き出せないからです。
つまり、RSAは決して簡単なものではないですし、
何も考えずに勝手に成果を上げてくれるものでもないのです。

ではRSAで高いパフォーマンスを出すには具体的にどうしたらいいか?
それには3つのポイントがあります。

  1. アセットは多様な切り口で
  2. 広告グループを細分化する
  3. ピン留め機能は慎重に

では紹介していきます。

①アセットは多様な切り口で

RSAはAIで自動で組み合わせをしてくれます。
故に、同じような意味合いのアセットを登録しては意味がありません。
せっかくの複数の選択肢をリアルタイムで試してくれる機能を無駄にしてしまいます。

例えば次のような軸を用意しましょう。

  • 価格: 「月額〇〇円~!」「今だけ20%OFF」など、価格の安さをアピール。
  • ベネフィット: 「初心者でも安心!」「たった3ヶ月でスキル習得」など、商品・サービスを使うことで得られるメリット。
  • 緊急性: 「本日限定!」「残りわずか」など、行動を促すフレーズ。
  • 信頼性: 「〇〇社の認定講師が指導」「顧客満足度98%」など、安心感を与える情報。

これらの異なる切り口をバランスよくアセットに登録しましょう。
そうすることで、ユーザーの複数の検索意図に対応できるようになります。

②広告グループを細分化する

アセットに関連性を持たせましょう。

具体的には広告グループをユーザーの検索意図ごとに分けてください。

広告グループとは、ウェブ広告を運用するときの基本の単位です。
「どのキーワードに、どんな広告文を出すか」の単位です。

広告を出すときは、目的(キャンペーン)があり、キーワード・広告文があります。
具体的な構造は次の通りです。

キャンペーン
 └ 広告グループ
   └ 広告
   └ キーワード

つまり広告グループは広告文、キーワードをまとめる箱のようなものです。

具体例を挙げると、

例えば「英会話スクール」を宣伝する場合:

  • キャンペーン:「英会話スクール集客キャンペーン」
     - 予算:月30万円
     - 地域:東京23区
     - 目的:問い合わせ(コンバージョン)

 └ 広告グループA:初心者向けコース
   - キーワード:「英会話 初心者」「英会話 無料体験」
   - 広告文:「初心者歓迎!無料体験レッスン受付中」

 └ 広告グループB:ビジネス英語コース
   - キーワード:「ビジネス英会話」「英会話 社会人」
   - 広告文:「ビジネス英語に強い。夜9時まで受講可能」

のように、一つの商品に、複数の広告グループがあります。
そもそもどの訴求軸が効果があるかは試してみないと分かりません。

先ほど個々のアセットは複数の訴求軸を分けるといったのに、
ここで訴求軸を分けるのか、と疑問に思ったかもしれません。

ここで分けるのは、主にターゲットです。
つまり、まず広告グループでターゲットを分けます。
そしてそのターゲットに訴求できるのは何なのか?
その候補をアセットに登録して、AIで探してもらう、
というイメージです。

③ピン留め機能は慎重に

RSAには常に特定のアセットを広告文に表示してもらう機能があります。
それをピン留め機能といいます。

しかしこれはせっかくのAIの自動最適化機能を狭めてしまうことになります。

基本的にはブランド名・自社名・商品名などの、
絶対に表示させたいものに限定してピン留め機能は使うべきです。

まとめ

今回の記事ではRSAの歴史的役割、メリット、運用法を解説しました。

✅歴史

初期のリスティング広告はシンプルで、あまり検索意図とマッチした広告が打ち出せなかった。
そこから拡張テキスト広告により複数の訴求軸を打ち出せるようになった。
しかしリアルタイム性のあるものではなかったので、マッチしきっているとは言えなかった。
また広告運用は手動管理だったので、時間と労力がかかっていた。

✅メリット

より多くの人へ最適な広告文を表示できる。
それが自動化により運営の手間を大きく減らして広告運用できる

✅運用法

複数の訴求軸を入れたアセットを登録する。
広告グループ(ターゲット)は分けて運用する。
ピン留め機能は固有名詞を使うものに限定する


広告の運用は以上のように劇的に改善しました。
しかしこれは競争が減ったことを意味はしません。

むしろ、競合は広告運用に手間を取られることがなくなった分、
より本質的な部分、つまり販売戦略のほうへ時間と手間をかけられるようになったということです。

AIの発展により、人の仕事を奪っていくといわれています。

個人的にはそうではなく、
よりこういうクリエイティブな部分へ人の時間と手間をかけられるようになった
のだと思っています。

そちらのほうへ意識をシフトしていけるといいのですが・・・

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