それは解くべき問題か?
こんにちは、阿部隆宗です。
世の中には膨大な量の問題が存在します。
僕たち人間は、そうした混沌とした状況を、
秩序立てたいという欲求を持っています。
しかし現実的にすべての問題を解き明かすことはできません。
時間的にも労力的にもそのようなリソースを人間は持ち合わせていません。
かと思えば解くべき問題を放置することもあります。
解くべきでない問題にリソースをかけ、
解くべき問題にリソースを割かない。
これではあべこべです。
到底そのようなリソースの無駄遣いを続けるべきではありません。
どうすればそのような状況を解決できるのか?
今回はそのような「問題」に取り掛かってみましょう。
何を解けばいいのか?
問題解決に取り掛かるには、
- 問題を認識すること
- 問題を自分のものととらえること
が必要です。それは👇の記事を参考にしてください。
しかし1から2へ一直線に行くことはできません。
人間は問題を自分のものとするまでに、様々な「障害」があるからです。
また、なんでもかんでも自分のものにすると、それはそれで問題があります。
問題解決へ<取り掛かる>までのステップは次のような流れです。
🔵 STEP 1:問題を認識したが、それは解決できない。(それは解けない問題か?)
🟢 STEP 2:その問題は自分が解決すべきものではない。(それは自分の問題か?)
🟡 STEP 3:問題は自分が解決できる。(それは解くべき問題か?)
🟠 STEP 4:その問題は解決すべき問題である。
🔵 STEP 1:それは解けない問題か?
問題解決者は問題に対して主体性を持ち続けなければいけません。
しかしその主体性を最初から投げ捨てていては、
解ける問題も解けません。
具体的には
「その問題は変えられない問題だ」
という意識のままでは、問題を解くことはできません。
例えば自然や体制、はたまた運命といった、
超自然的な、つまりは一人間に到底抗うようなことができない存在に、
人はたびたび問題の原因を求めます。
そうすることで、自身の無力感を直視しないようにしているのです。
実際本当にそうであるならば、
それは変えようがないものですから精神安定の観点からそうすべきでしょう。
ただ多くの、人を悩ませる問題というものは、たいていはそうではありません。
例えば、
人間関係の問題
「あの人はああいう性格だから仕方ない」と諦めるケース。
でも実際は、自分のコミュニケーションの取り方を変えることで関係性が変わることが多い。
職場・組織の問題
会社の文化だから変えられない」と思いがちだが、
提案・交渉・異動・転職など、取れる行動は多い。
経済的な問題
自分には才能がないから稼げない」「景気が悪いから」と外部に原因を求めるが、
スキルの習得や収入源の多様化など、本人が動ける余地がある。
健康・習慣の問題
「太りやすい体質だから」「家系的に病気になりやすい」と遺伝や体質のせいにするが、
生活習慣で大きく変えられる部分がある。
自分の性格・能力の問題
「自分はこういう人間だから」と固定化して考えるケース。
共通しているのは、
「原因を自分の外に置くことで、行動しなくて済む状態を作っている」
という点です。
これをやっているのが自分自身だったり、
あるいは問題が大したことのないものであるならば、
別に放置していても構わないでしょう。
しかし、例えば会社の上司やクライアントが、
取り組まなければならない問題を、
このようにとらえていた場合は、それを解消する必要があります。
解消方法
直接、
「それは外部が原因ではありません」
などといっても意味がありません。
本当にそうかどうかはともかく、
本人はそのように思っているし、
人の信念を説得によって変えることはできません。
少なくとも本人にとってはそれは真実だからです。
なので、その真実はそのままにしておいて、
新しい真実を付け加えるアプローチをしましょう。
上司が「景気が悪いから売上が落ちている」と思っている場合
❌ 「景気のせいではないと思います」
⭕ 「確かに景気の影響はありますね。ただ、同じ環境でA社がこういう手を打って結果を出しているのを見ると、私たちにもできることがありそうだと感じました」
クライアントが「うちの業界は特殊だから一般的な手法は通用しない」と思っている場合
❌ 「そんなことはありません」
⭕ 「おっしゃる通り特殊な部分は確かにありますね。その上で、似たような特殊性を持つ◯◯業界では、こういうアプローチで突破口を開いたケースがあります」
これらのように、いったん相手の言い分を受け入れて置いて、
そのうえで「こちらの言い分を差し込む余地はあるのでは?」
という方向性を示すのです。
🟢 STEP 2:その問題は自分の問題か?
問題が解決できることは認識しました。
では直ちに問題解決に取り組むかというと、
人間というものはそう簡単にはいきません。
人間は基本的に面倒くさがりなので、
できる限り働きたがりません。
つまり、問題解決を人に押し付けたがります。
それは、一概に間違ったことではありません。
人のリソースは限られていますし、
本当に自分で解決しないほうがいいこともあります。
しかし自分が解くべき問題なのに、
人に押し付けてしまうようなことは避けるべきです。
また、会社の上司やクライアント自身が解決すべきなのに、
こちらに丸投げされてしまう、というような状況が想定できます。
そもそもこちらに解決できる権限がないのに、
こちらに問題を丸投げされてはどうしようもありません。
例えば、
クライアント側からの資料提供がなければ
制作物を作れないのに、
なぜかクライアント側から資料提供がない。
それなのにクライアント側から制作物を早く提出するように求められる。
こんな、一見馬鹿げたことがビジネスの世界ではたびたび起こります。
こんなことが起こる理由はいくつか考えられます。
1. 問題の所在が見えていない
クライアント自身が「資料提供が滞っていることが原因だ」と気づいていない。
制作が遅れているという結果だけを見て、制作側の問題だと認識している。
2. 自分がボトルネックだという自覚がない
忙しさや他の業務に追われているうちに、
自分が作業を止めているという感覚が薄れていく。
「向こうがやっている」という曖昧な認識のまま時間が過ぎる。
3. 発注した時点で「終わった」と思っている
依頼=完了、という無意識の区切りをつけてしまっている。
自分にも継続的なタスクが残っているという認識が最初から欠けている。
4. 責任の重心を無意識に移している
先ほどの話と繋がりますが、
「あとは向こうがやること」と問題をこちらに転嫁することで、
自分の責任領域を狭めようとしている。
5. 構造的な力関係
発注者と受注者という関係上、「待たせてもいい」という暗黙の意識が働きやすい。
などなど・・・理由はいくつもありますが、本質的には、
「自分がプロセスの一部である」という当事者意識の欠如
が根本にあることが多いです。
問題を外に投げた瞬間に、自分はその問題から切り離されたと感じてしまう、
だから自分側のアクションが止まります。
なんにせよ、ビジネスパートナーであるならば、
問題は「あなた」や「私」のものではなく、
「私たち」のものであるべきです。
対処法
直接「これはあなたも当事者じゃないですか」と言っても逆効果です。
先ほどと同じで、信念の否定は防衛反応を生みます。
なので、構造を見せることで、自然に気づかせるアプローチが有効です。
1. 全体のプロセスを可視化する
作業の流れを図や表にして共有します。
「資料提供 → 制作 → 確認 → 納品」という流れを明示すると、
どこが止まっているかが客観的に見えるようになります。
2. 「私たち」を主語にした言い方をこちらから使い続ける
「私がやります」ではなく「一緒に進めましょう」。
「提出が遅れています」ではなく「ここで私たちが止まっています」。
主語を共有することで、相手の中に少しずつ「当事者」としての感覚が育ちやすくなります。
3. 相手のゴールと紐づける
「この資料が揃うと、◯◯さんが望む納期に間に合います」という形で、
相手自身のメリットと行動を結びつけます。
人はつねに相手のことより、自分のことを考えています。
だから、自分のゴールのためなら動きやすいです。
4. 小さな参加を求める
いきなり大きな責任を意識させるのではなく、
「この一点だけ確認いただけますか」という小さな関与を積み重ねます。
参加した事実が積み重なると、自然と当事者意識が生まれてきます。
とにかく参加させ続ければ、その状態が自然になります。
それは慣性の法則が、動き始めと動いているものが止まるときに働くようなもので、
動いてしまえば動いている状態のほうが最もエネルギーを使わずに済む、
ということです。
……………………………………………………………………
これらに共通する原則は、
相手を「問題の外」から「問題の中」へ引き込むことです。
宣言させるのではなく、気づいたら当事者になっていたという状態を作るのが理想です。
🟡 STEP 3:それは自分が解決すべき問題か?
問題は解けるとわかり、そしてそれは自分の問題であることも分かった。
では早速取り掛かろう、となるのもいいですが、いったん立ち止まりましょう。
というのも、必ずしもそれが解決しなければいけない問題であるとは限らないからです。
問題とみればすべて解かなければ気が済まないのが人間というものですが、
それはすなわち解けなければいけないものとイコールではありません。
何度も言いますが、問題解決にはリソースをつぎ込まなければいけません。
どんな大したことのない問題も、少なからずリソースをつぎ込みます。
ましてやビジネスの問題は多大なエネルギーを消耗します。
よって解決における投資対効果の高い問題に解決を集中すべきです。
例えば時間が解決する問題です。
新しいルールが導入されたが、組織に不満があるようなとき、
こういうものは不満が目に見えるので、解きたくなります。
けれども、最初は反発があっても、慣れれば自然と消えることが多い。
逆に無理に説得しようとする方がコストが高いです。
あるいは相手が自分で解決すべき問題、例えば部下の人間関係のもつれです。
介入することで、かえって当事者意識を奪い、依存を生みます。
何でもかんでも介入して影響力を発揮しようとせず、
ある程度のけんかはむしろ当事者意識の表れと考えて、
放置する勇気を持ちましょう。
また多くの企業にありがちなのが、すでに80点の品質があるのに、
100点を目指して追加コストをかけ続けるケースです。
品質が上がれば売れると考えて、多くの企業がやりがちですが、
実際のところ、品質の上昇と売り上げはそのまま比例するわけではありません。
そのうえ品質を上昇させるコストは、上昇させるほど上がります。
つまり、この問題は基本的に取り組めば取り組むほど、
損します。
では解くべき問題は何か?例えば、
1. 放置すると取り返しがつかなくなる問題
顧客からの小さなクレームの無視など。
小さなうちは簡単に解決できるが、放置すると信頼損失・解約・炎上につながる。
2. 再現性のある問題
同じミスが何度も起きている。その都度対処しているだけでは根本が残り続ける。
3. 他者を巻き込み続けている問題
自分だけの問題なら放置も選択肢だが、周囲のリソースや進捗を継続的に阻害しているなら解決が必要。
こういったことを見分けるためにはどうしたらいいでしょうか?
それには次のような問いを投げかけてみてください。
「これを解かなかったら、3ヶ月後にどうなっているか?」
何も変わらないなら、おそらく解かなくていいでしょう。
でも、じわじわ悪化しているなら、それは解くべき問題です。
🟠 STEP 4:その問題は解決すべき問題である
ここまで来たら、あとは取り掛かるだけです。
ただ一点だけ付け加えるとすれば、
「解くと決めたら、解くことに集中する」ということです。
STEP 1〜3で散々立ち止まって考えてきましたが、
ここから先は逆に余計なことを考えすぎないほうがいいでしょう。
「本当に解くべきだったか」
「もっといい方法があるのではないか」
と考え続けることは、それ自体がリソースの無駄遣いです。
解くと決めた問題は、解く。それだけです。
今回はここまで。
