ウェブ広告運用担当者必見!PPC広告で成果を最大化する5つの改善ポイント
PPC広告の成果は改善の連鎖で決まる
広告はただ出せば成果が出るものではありません。
どれほど卓越した広告マンだろうと、
出稿後の継続的な改善は不可欠です。
いや、むしろ継続的な改善ができるから卓越した成果が出せるのです。
この記事ではウェブ広告の中の特にPPC(Pay Per Click)広告に絞って話をします。
なぜならウェブ広告の中でも、
- リアルタイムでの調整が可能
- 効果測定が可能
という特性を持つので、継続的な運用と改善がとりわけ重要だからです。
※補足:
PPC広告とはクリック課金型の広告です。
つまり表示された広告をユーザーが、一クリックするごとに料金が課金される広告のことです。
代表的なものにGoogleやYahoo!で検索したときに出るリスティング広告、
webサイト上に表示されるディスプレイ広告があります。
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もちろんウェブ広告には純広告もあります。
(期間や表示回数で料金が決まる広告)
しかし一度掲載したら頻繁に手を加えることはありません。
もちろんウェブ広告、いえ広告全般で継続的な改善は必要です。
しかしPPC広告は特にその恩恵が大きく、
運用のうまさが直接成果に反映される広告手法です。
何よりPPC広告において、何の改善もしなければ、
無駄な広告費を垂れ流しっぱなしになります。
何より成果が上がりません。
この記事ではその具体的な改善方法を5つ紹介します。
5つの改善ポイント
5つの改善方法は単独で機能するわけではありません。
それぞれが相互作用します。
よって、どれか一つやればいいものではありません。
5つの改善ポイントの概要
- 検索クエリ(ユーザーの検索意図)管理:
検索クエリとキーワードの管理で広告の精度を上げます。
検索クエリとはユーザーが実際に検索窓に入力したキーワードを指します。
そのキーワードと広告主側のキーワードをマッチさせるようにしないと広告は表示されません。
ユーザーの検索意図に合ったキーワードに絞り込み、無駄なクリックをなくします。 - 広告文の最適化:
広告文と広告表示オプションでクリック率(CTR)を改善
魅力的な広告文でユーザーの注意を引き、クリックを促します。 - LP改善
LP改善でコンバージョン率(成約率、つまりいくら購入してくれたかの率)を上げます。
広告をクリックしたユーザーが、スムーズにコンバージョンできるような環境を整えます。 - 入札戦略・予算配分の調整
賢い入札戦略と予算配分で費用対効果を追求します。
ウェブ広告ではキーワードをオークション形式で購入します。
よって、賢い入札戦略が必要です。
成果が出やすい部分に予算を集中させ、投資対効果を高めます。 - ターゲティングと配信条件の見直し
広大なインターネット空間ではやみくもに広告を出稿しても誰の目にも止まりません。
なので適切なターゲットを設定する必要があります。
ターゲティングと配信条件の見直しで最適なユーザーに届けます。
適切なユーザーに適切なタイミングで広告を配信します。
なぜこの5つのポイントが必要なのか?
まずユーザーの自然な購買プロセスの流れに沿っているというのがあります。
ステップ1と2:ユーザーの目に留まるまで
- キーワード管理(1)で、広告を「誰に表示するか」を決めます。
- 広告文の最適化(2)で、表示された広告を「クリックしてもらう」ように促します。
ステップ3:クリック後の行動
- LP改善(3)で、クリックしたユーザーを「コンバージョンさせる」環境を整えます。
ここまでがどんなビジネスでも通用する購買プロセスです。
そしてここからが改善のポイントです。
ステップ4と5:全体の最適化
- 入札戦略(4)は、どの部分にリソースを集中させるかを決める「戦略」です。
- ターゲティング(5)は、デバイスや地域といった配信条件を調整し、より効果的なユーザーにリーチするための「戦術」です。
注目したいのは、最初に広告を出してからさらに改めてターゲットを修正していくという流れです。
もちろん最初にある程度の仮説を立てて広告を出すのですが、
想像と実際の顧客は違います。
広告の正解は、実際に出してみるまで分かりません。
何が正解なのか、そのヒントをウェブ広告では実際に広告を出すことで得ることができます。
ウェブ広告のツールで、それができます。
※このステップはステップ5まで行ったらまたステップ1から始まるサイクル型です。
全体の流れがわかったところで、
それでは一つ一つのステップを解説していきます。
①検索クエリ管理
PPC広告の運用において、最も基本的なのが検索クエリとキーワードの管理です。
検索クエリとはユーザーが実際に検索エンジンに入力した言葉のことです。
ここにはユーザーの検索ニーズが含まれています。
キーワードとは広告主が設定する広告を表示するための言葉です。
この二つは混同しやすいので注意してください。
特に検索クエリは複合的なワードでできているので、
キーワードと何が違うのかわかりづらいかもしれません。
しかし明確に違います。
先ほども言った通り、検索クエリは検索した人のニーズが含まれています。
つまり、顧客候補の欲求が詰まったワードの塊が検索クエリです。
ウェブ広告では広告を出稿すると、
この検索クエリレポートが出てきます。
自社の広告をクリックした人がどんなワードで検索したのかわかるのです。
その中には全く自社のターゲットでない人もいるかもしれません。
そのような場合はその検索クエリを除外します。
PPC広告はクリック課金制。
なので関係ない人にクリックされるたび、広告費を無駄にするからです。
✅除外キーワードの追加で無駄なコストを削減する
例えば高級革靴を販売しているとします。
広告主は当然高級革靴を求めている人に検索してもらいたいです。
しかし、広告を出してみると、
「安い 革靴」のようなキーワードでクリックされていたことが分かりました。
この人は高級革靴を購入するでしょうか?
はい、まずありえません。
なので、この「安い」を除外してもらうように設定する必要があるわけですね。
✅関連性の高いキーワードの追加でビジネスチャンスを拡大する
一方で検索クエリレポートには想定していなかったが、
コンバージョンにつながるお宝キーワードが発見できることがあります。
「検索クエリレポートにあるということは、
すでにクリックされているのだからわざわざキーワードを追加する必要はないのでは?」
と思われるかもしれません。
じつはこのような検索クエリで検索しても確実に表示されるとは限りません。
確実に表示されるようにするには、
新しいキーワードとして追加しなければいけません。
なので新しいキーワードを追加することで、
チャンスが広がるわけですね。
②広告文の最適化
検索クエリとキーワードをマッチさせることで見込み客(買う見込みのあるお客さん候補)に広告が表示されるようになりました。
もちろんそれで終わりではありません。
肝心の広告がクリックされなければ無意味です。
広告文はそのクリック率に影響します。
その手法として2つあります。
- ABテスト
- 広告表示オプション
の二つです。
✅ABテスト
どんなメッセージが見込み客の心に響くのか、
それは実際に試してみなければ分かりません。
その試す行為をABテストと言います。
これはウェブ広告特有ではなく、広告全般に共通する手法です。
そしてウェブ広告ではこのテストがオフラインよりも、
小予算で様々な組み合わせを試すことができます。
見込み客が低価格重視ならば、
「業界最安値!」とか「セール中」をアピールしましょう。
製法重視なら、
「国産」とか「職人仕立て」をアピール。
最新技術が欲しいなら
「令和最新版!」みたいにメッセージを組み立ててください。
どのメッセージが効果があるか、しっかりとレポートにでます。
そのレポートの結果を基に、最適な広告文を見つけてください。
✅広告表示オプション
見込み客はできるだけ情報が欲しいです。
そこで広告表示オプションです。
基本的にABテストは見出しと説明文の部分だけです。
そこに追加して情報を提供できる機能が広告表示オプションです。
このオプションを付けることで、広告の視認性が向上します。
サイトリンク:
サービスの料金ページや問い合わせフォームなど、広告から特定のページに直接誘導できます。
コールアウト:
「送料無料」「年中無休」「安心の30日返金保証」など、サービスの強みを追加でアピールできます。
構造化スニペット:
「サービスの種類」「取り扱いブランド」といった項目をリスト形式で表示し、ユーザーの検索意図との関連性を高めます。
これ以外にもいろいろあります。
使って損はないのでできる限り使いましょう。
③LP改善
広告が表示され、クリックされました。
もちろんそれで終わりではありません。
実際に行動に移してもらうのが広告主の目的です。
クリックした先に最初に目にするページ、
それをランディングページ(LP)と言います。
最初にランディング(着地)するのでランディングページですね。
✅LPそのものの改善
初歩的なこととして、広告文とLPの内容は合わせましょう。
「猫のやってはいけない飼育法」みたいな広告文をみてクリックしてみたら、
「お金の儲け方の9つのルール」みたいなLPが表示されていたら、
どれほど内容が優れていてもたいていはブラウザバックです。
10%は読むかもしれませんが、
90%は帰ります。
もう一度言いますが、PPCはクリック課金制、
無駄なクリックはできる限り排除してください。
これは当たり前の領域ですが、LPで気を付けることは当然まだあります。
例えば、
- 商品で何を得られるか
- 商品の信頼性は?
- 文章の順番は自然か?論理が破綻していないか?
- 見やすいデザインになっているか?
- 画像は?
などなど、LPの改善ポイントはいくつもあります。
✅フォーム・CTAの見直し
LPが素晴らしいものに出来上がりました。
しかし広告主はそれを読んでもらうことが目的ではありません。
読んで何かしらの行動を起こしてもらうことが目的です。
例えば直接購買してほしいだとか、お問合せしてほしいだとかということです。
そのプロセスが煩雑だと、それだけで離脱してしまいます。
行動はできる限り面倒のないものにしましょう。
例えばボタンをクリックするだけとか、
メールアドレスを登録するだけとか。
クレジットカード情報を入力するのが面倒・・・という人のために、
amazon payはあるのです。
それだけで成約率が上がる可能性はあります。
上がった成約率と導入コストのバランスを考えてみましょう。
コストに見合わないなら取り扱いをやめればいいだけです。
とにかくできる限り手を動かす必要のないようにしましょう。
✅読み込み速度の最適化
読み込み速度が3秒を超えると53%のユーザーが離脱するといわれています。
現代人の集中力は恐ろしく低下しています。
少なくとも表示速度がどうでもいいということはないでしょう。
具体的には
- 画像の軽量化
- コード・コンテンツの最適化
といった改善を試しましょう。
これらは内容を変えることなく、コンバージョン率を上げられるます。
④入札戦略・予算配分の調整
PPC広告ではどこにどれだけのお金をかけるのかを配分することができます。
✅入札戦略
PPC広告はオーディション形式でキーワードを入札していきます。
なので、高いが効果ないキーワードの入札はさけ、
きちんと効果のあるキーワードの入札をしましょう。
何が効果のあるキーワードか?
それはテストしかありません。
具体的には、
広告運用初期:
まずは多くのユーザーにクリックしてもらうことを目指す。
(入札戦略の設定をクリック数最大化にする)
これはデータを集めるためです。
ある程度データが集まったら:
どんな人がどんな検索クエリでクリック→コンバージョンしているか、データが集まってきたので、
入札戦略の設定を「コンバージョン数最大化」、「目標コンバージョン単価」に切り替えましょう。
こうすることでAIがコンバージョンしやすい人に広告を表示してくれるようになります。
(データを集めないと誰がコンバージョンしやすいかAIがわからないので、
最初にデータを集める必要があります)
最初は予算を使い切りながら「コンバージョン数最大化」を目指します。
ある程度平均CPA(顧客獲得単価)が把握できたら
「目標コンバージョン単価」に切り替えて、
ビジネスの採算性を合わせます。
コンバージョン数最大化のままだと、
予算を使い切ってしまって、
採算が合わない状態になる可能性があるので。
最終的に:
入札戦略をROAS(広告費用対効果)最大化に変えます。
ここまででコンバージョン数の最大化を目指しました。
しかし例えば千円の商品と、1万円の商品では当然千円の商品のほうがコンバージョンはしやすいです。
だからと言って、それが売り上げが最大化するかと言えばそうではありません。
なので、最終的には売り上げを最大化するためにROASの最適化をする必要があるのです。
これにより、コンバージョン数自体は減るかもしれませんが、ビジネスの収益性が飛躍的に上がります。
なぜわざわざコンバージョン数の最大化を間に挟むのか?
それは、安定してコンバージョンが発生するようになると、
AIがそれぞれのコンバージョンがどのくらいの価値があるのかというデータを蓄積できるからです。
▶️それぞれの移行目安
コンバージョン数が過去30日間で30件以上に到達したら、
コンバージョン数最大化へ入札戦略の設定を変更してください。
だいたい1か月~3か月です。
そこからROAS最大化への目安は、
過去30日間で50件以上のコンバージョンの獲得です。
だいたい広告運用を始めてから3か月~6か月です。
これはあくまで一般的な目安なので、
業界・商材によって違います。
データ量が大量にあればステップは短くなります(低価格)し、
少なければ(高価格)長くなります。
4ステップあるように見えますが、
基本は3ステップです。
つまり、データ収集(クリック数最大化)
👉成果の追求(コンバージョン数最大化、目標コンバージョン単価)
👉収益性の最大化(ROAS最大化)
の順で、入札戦略を変えてください。
✅成果が出やすいキャンペーンに重点的に予算を配分する
すべてのキャンペーンが同じように成果を出すわけではありません。
実際に広告を出稿すると、
それぞれのキャンペーンごとに成果が違ってくるはずです。
ウェブ広告ならかなり詳細なレポートがあり、
クリック率がどうだったとか、コンバージョン率がどうだったとか
そういうことが分かります。
費用対効果が高いものに重点的に予算を配分しましょう。
逆に成果の低い広告からは予算を引き上げます。
とはいってもその判断は簡単ではありません。
クリック率もコンバージョン率も低いなら引き上げて構いません。
しかし、クリック率が低いなら、その広告は広告費の無駄、
とも言い切れないからです。
じつはコンバージョン率が高く、ニッチなターゲットに刺さっている可能性があります。
その場合は予算を引き上げる価値があります。
逆にクリック率が高くてもコンバージョン率が低いもの、
これも直ちに引き上げていいかの判断は保留すべきです。
LPを改善すればコンバージョン率は高くなる可能性があります。
▶️ではいつまで改善し続ければいいのか?
まず改善の結果は最低でも1週間、できれば2週間を見てください。
これはオンラインに限らずオフラインでもです。
そしてデータ量も重要です。
統計的に有意とみられるのは1000以上です。
もちろんオンライン・オフライン両方です。
実践的にはできれば3000あれば確実と言えるでしょう。
それだけ見られているのに、コンバージョンが0なら直ちに広告出稿をやめてください。
よく
「3回やらないと成果は出てきませんよ」
というようなことを言ってくる人がいますが、
それはやめてください。
3回やって効果があるのは初回に効果があった広告だけです。
0に何かけても0です。
またそもそも費用対効果があっていないようなものも予算引き上げ対象です。
ただそれは広告の問題というより、
そもそもビジネスモデル自体があっていない可能性があります。
⑤ターゲティングと配信条件の見直し
ターゲットを細かく見直すことで、
無駄な表示を減らし、コンバージョンにつながりやすい見込み客に集中的にアプローチできます。
✅デバイス別
スマホとPC、タブレットごとにユーザーの行動パターンは違います。
例えば、BtoBならじっくり検討するためにPC、
飲食店や美容室なら外出中にスマホで検索するかもしれません。
それぞれの商材ごとに入札単価を上げ下げしてください。
✅地域別
店舗型ビジネスなら地域別でのターゲッティングは必須でしょう。
ただの地域とひとまとめにしないでください。
どんな場所にも偏りはあります。
✅曜日・時間帯別
オフライン広告とウェブ広告の違いの一つが時間帯ごとに細かく広告表示ができることです。
例えばBtoBなら担当者の営業時間内、つまり平日9:00~18:00がねらい目かもしれません。
主婦ならば昼12:00~14:00、夜17:00~19:00
といったように細かくスケジューリングできます。
まとめ
ユーザーの検索ニーズは日々変わっていきます。
なので今はよい効果が出てても、将来は分かりません。
なので継続的な改善が必要です。
具体的には、
- 検索クエリ管理
- 広告文の最適化
- LP改善
- 入札戦略・予算配分の調整
- ターゲティングと配信条件の見直し
が必要です。
これらは一つやればいいものではありません。
すべてが相互作用しているからです。
広告は地道な改善の積み重ねが可能です。
決して一部の人のセンスによるものではありません。
うすることであなたのビジネスは確実に伸びていきます。