売りにくい予防商品の2通りの売り方
こんにちは、阿部隆宗です。
セールスライティングの世界では
<予防商品は売れない>
という格言があります。
予防商品とは、生命保険、虫歯予防・・・といった、
<将来のために備えるもの>のことです。
でも予防商品を扱っている人が、それであきらめなければいけないというわけではありません。
今回はどうやったら予防商品を売れるようになるか、
その2パターンの方法をご紹介します。
なんで予防商品は売れないのか?
予防商品が売れない原因は何なのか?
そもそもその効果に疑問を持っているというのは、
予防商品に限らず売れない原因であるので省きます。
その効果が確かにあるんだろうな、と見込み客が思っているとして、
売れない原因は何でしょうか?
「自分だけは大丈夫」という正常性バイアスから、
「自分はそんな病気にはならない」として、商品の購入に至らない。
予防とは、たいてい一回やればいいものではなく、
継続的にし続けなければいけないので、
それを習慣にすることが面倒だから。
結局対処する問題が自分事として実感できないから。
・・・
など、様々な原因が考えられますが、
根本的には原因は一つです。
それは、
<今、それを買うべき理由がない>
からです。
売るためには3つの理由を、見込み客に説明する必要があります。
- why me:なぜ私がその商品を買わなければいけないか?
- why you:なぜあなたからその商品を買わなければいけないか?
の2つは、経営者でなくとも、見込み客に説明する必要があると、
誰でも想像できるでしょう。
しかし、最後の
- why now:なぜ今でなければいけないか?
はセールスの現場に携わったことがある人や、
センスのある人でないと分かりません。
しかし、これは売るために不可欠なことです。
予防商品は、この3つ目の、「今買う理由がない」ために、
セールスライティングの世界では「売れない」ものとされています。
予防商品を売れるようにするためには?
では予防商品を売れるようにするにはどうすればいいでしょうか?
それには2つのアプローチがあります。
アプローチ1:「予防商品」ではなく「今すぐ商品」にする
第一のアプローチは、
そもそも予防商品ではなくすること。
つまり、
「あなたはすでに病気にかかっていて、
すぐに対処する必要がありますよ」
とアピールすることです。
例えば、もしも病気の予兆が存在しているなら、それを指摘するといった方法があります。
サプリなどの広告で、「あなたは〇〇ではありませんか?」
といった文言や、様々な症状の✅(チェックリスト)を見たことはありませんか?
サプリはまさに<将来病気にならないための栄養を補給する>予防商品です。
これは「あなたはすでに病気」アプローチのお手本と言えるでしょう。
あるいは症状が出ていなくとも、問題を放置した結果どうなるかを具体的に描写する手法もあります。
「今なら月々3000円で済みますが、放置すれば将来3000万円の出費の可能性があります。
つまり、月々3000円なら50年支払い続けても180万で済みますが、これを放置すると、
16倍の出費となってしまいます。
もしも突然3000万の出費を強いられたら、あなたの生活はどうなるでしょうか?
その支払いのために日々懸命に働きます。
しかし、その働きのほとんどはその負債の支払いへ消えていきます。
気晴らしの旅行にも行く機会などありません。
趣味の時間でも、巨額の負債が頭にちらついて十分に楽しむことができません。
ベッドの中に入っても、支払のことが頭に残り続け、安心して眠ることができません。
つまり、月々3000円の支払いは、経済的にお得であるだけでなく、
精神的な安心を獲得するためにあります」
といったかんじです。
これが効果がある理由はお分かりですね?
「今すぐ買う理由」があるからです。
アプローチ2:身近な人の危機をアピールする
これは伝説のコピーライター、ユージン・シュワルツが、
その著書『Breakthrough Advertising』にて、
「予防的な解決策のヘッドラインでも売れる唯一のタイプ」
と称した方法です。
先ほどは予防商品ではなくする手法でしたが、
これは予防商品のまま売るという手法です。
予防商品は、言ってしまえば見込み客が自分事としてとらえにくいため、売れません。
しかし、それは見込み客個人の問題に関してのみであり、
愛する人、友人、妻子、
そして自分の所属しているコミュニティが悩まされるような問題なら、
見込み客はしっかりと想像力を働かせます。
自分のことは他人事なのに、他人のことは自分事にするというパラドックスが発生していますが、
これは人間の根源的欲求から考えれば自然なことです。
脳科学の研究においては、「未来の自分」と「今の自分」を考えている時で、
それぞれ脳の活動領域が変わるといいます。つまり、「未来の自分」は見ず知らずの他人です。
また自分自身に対しては、精神の平穏を保つために、「正常性バイアス」がかかります。
これはつまり、「自分だけは大丈夫」という根拠のない自信のことです。
しかしこれが大切な人のこととなると話が変わります。
自分のことなら「何とかなる」で済みますが、
大事な人のこととなると、万が一の確率を無視できなくなります。
これは自分のことは主観的に見るが、他人のことは客観的に見るために起こります。
また自分が病気になっても、それは自業自得として受け入れられますが、
大事な人が自分のせい、あるいは自分が十分に対処しなかったせいで、
被害にあうことを、人は許容できません。
人は被害者になるよりも加害者になるほうを回避する傾向が強く、
ましてや被害にあうのが大事な人となると、
それは絶対にさけなければならないことになります。
つまりアプローチ2は、大切な人への「愛」と、そして「罪悪感」
という極めて根源的で強力な心理トリガーを使うため、
ユージン・シュワルツも「予防商品を売るための唯一のタイプ」
と表現したわけです。
例えば虫歯予防が売れたのは、親に子供の虫歯に焦点を当てた広告が功を奏したためですし、
生命保険が売れたのは、見込み客自身の死ではなく、
「残された妻子が路頭に迷ってもいいんですか?」
というアピールをされたからです。
つまり、その商品を買うことは、見込み客を
「身近な人を守るヒーロー」にすることであり、
予防という退屈な行動を「愛の証明」というドラマチックな行動にすることとなります。
アプローチ1とアプローチ2のどちらが強力か?
予防商品を売れるようにするためのアプローチとして2つの方法をご紹介しました。
ではこの2つはどちらが強力なのでしょうか?
それはアプローチ2、<大事な人の危機をアピールする>の方です。
なぜならアプローチ2は人間の根源的欲求の中でも、
最も強い部類を刺激するからです。
アプローチ1も「恐怖」という感情を利用しますが、
アプローチ2の「罪悪感」はさらにその上を行きます。
恐怖は極論、正常性バイアスの効果により忘れ去ることができますが、
罪悪感からは逃れられません。常に背後にその気配を感じ続けます。
これに加えて「愛」という動機もアプローチ2には付け加えられます。
「罪悪感」と「愛」という「恐怖」よりも強い心理動機が二つも重なれば、
論理的にアプローチ2のほうが強力な効果を持つと結論付けられます。
ただそれはすべてのケースに当てはまるわけではなく、
(もちろんアプローチ2のほうが広範囲で強力なのは確かですが)
アプローチ1のほうが手っ取り早いケースはあります。
具体的には緊急性が物理的に目に見えている時などです。
歯だったらすでに痛みが出ている。
排水管だったらすでに詰まっている。
など、こういった状況です。
一見すると、これは予防でどうにかしようという問題ではないので、
予防商品は売れないんじゃないかと思います。
実際問題そのものは予防商品で解決できません。
しかし、予防商品を売る最大のチャンスではあります。
予防商品が売れないのは、結局のところ自分事と捉えられないからです。
しかしまさにその痛みが自分に起こっているのですから、
自分事と捉えられないことは100%あり得ません。
これはいわば予防の必要を言葉ではなく体で分からせている状態です。
ある意味では最強のマーケティングと言えるでしょう。
しかし、この二つは別々に使わなければいけない理由はありません。
むしろ「今」「身近な人に」危機が迫っているとする、
二つのアプローチを組み合わせた方法のほうが手法として最も効果があります。
今回はここまで。
