マッチタイプの完全一致・フレーズ一致・部分一致とは

リスティング広告とマッチタイプ
リスティング広告の心臓部と言えるのがキーワードです。
なぜなら広告の成果のほぼすべてを決定づける根源的な要素だからです。
キーワードがなければ、そもそも誰に広告を見せたいのかもわかりません。
あなたが中古車販売をしているとして、
広告のキーワードに何の設定もしていなければ、
新車やゲームやおもちゃやレシピといった、
まったく関係ないターゲットに広告が届きます。
正しいキーワードを設定していなければ、ユーザーのニーズと全くマッチしません。
当然そんな広告に効果はありません。
無駄なお金を使うだけです。
「格安 スマホ」と検索しているのに、
「最新iPhone発売!」という広告を打ってもまったく響きません。
これは典型的な間違ったキーワード選定です。
キーワードは広告費が投資になるか、無駄な出費になるかを決める最も重要な要素です。
正しいキーワードを選ぶこと、それがリスティング広告の成功のカギです。
ただしそれは広告を出稿する前に分かるものではありません。
広告を出稿してから正解がわかるのです。
正しいキーワード選定に欠かせないツール、それがマッチタイプです。
マッチタイプとは
マッチタイプとは何か?
これはおそらく、リスティング広告初心者が戸惑うポイントの一つでしょう。
マッチタイプとは、
「ユーザーが検索したキーワード」
と
「広告主が広告を出すために設定したキーワード」
を、どの程度の一致度で表示させるかを決める設定です。
マッチタイプには3種類あります・・・が、
まずなぜマッチタイプが必要なのかを説明します。
マッチタイプという概念がなければ、
広告は広告主が設定したキーワードと全く同じ言葉で検索されたときにしか表示されません。
例えば、あなたが 「東京 レストラン」 というキーワードを設定したとします。
- 「東京 レストラン」 と検索した人には表示される。
- 「都内 レストラン」 と検索した人には表示されない。
- 「東京の美味しいレストラン」 と検索した人にも表示されない。
これでは不便すぎます。
あるいはカメラを扱うとしましょう。
広告主は「カメラ」というキーワードを設定します。
では実際にはユーザーはどんな検索をするでしょうか?
- カメラ おすすめ
- 一眼レフ カメラ
- カメラ 使い方
- カメラ 買取
- カメラ 写真集
このようなキーワードを検索窓に打ち込みます。
しかし、マッチタイプが設定されていなければ、
これらの人に広告は表示されません。
さすがにそれは困りますよね?
マッチタイプがあることで、
様々な検索ニーズに合わせて適切に広告を届けられます。
要は網を広げられるということです。
マッチタイプと正しいキーワード選定の関係
リスティング広告において、マッチタイプと正しいキーワード選定は、
どちらか一方だけでは機能しません。
二つは相互補完の関係にあります。
この二つの関係を例えるなら、
キーワード | マッチタイプ |
どこに魚がいて、 どこに網を投げるか? | 投げた網の、 網の大きさを調整すること |
と言えるでしょう。
網の大きさが大きければ、いろんな魚がとれます。
しかし、関係ない魚も混じってしまいます。
網の大きさが小さければ、狙った魚だけ捕れます。
しかし、近くの有望な魚を取り逃がしてしまいます。
例えば中古車販売の広告を考えましょう
まず車を売りたいというニーズがあります。
そこで、「中古車 買い取り」というキーワードで検索すると仮定します。
大きな網でエイヤッ!と投げるといろんな魚(キーワード)を捕まえられます。
例えば「中古車 査定」「車 売却」
といったワードです。
補足:Google広告では広告を出稿すると、その広告に反応したユーザーの検索ワードを知ることができる。
しかし、関係のない魚
例えば「中古車 おもちゃ」「中古車 経営学」
といった魚も混じってしまう。
そうなると、その分だけ予算が無駄になります。
逆に、小さい網をテイッ!と投げると、狙った魚(キーワード)だけを捕まえられます。
例えば「中古車 買い取り」
といったワードです。
しかし、自社にとって有望な魚も取り逃がしてしまいます。
例えば「中古車 買い取り 価格」
といったワードです。
これは、販売機会の喪失となります。
両方を組み合わせた運用サイクル
さて、リスティング広告では実際にどのような運用をするのでしょうか?
ステップ1:仮説を立てる。
まずターゲットとなるユーザーが検索しそうなワードをキーワードとして登録します。
その際には、【部分一致】を中心に広告を始めます。
【部分一致】については後ほど説明します。
簡単に言えば一単語をもとにいろんな検索することです。
ステップ2:データを分析し、キーワードを改善
実はWeb広告ではどんなキーワードを取りこぼしたのか、
そしてどんなキーワードに一番反応しているのかがわかります。
(少なくともGoogle広告では可能です)
よって
- 一番反応しているキーワードに、より費用をかける。
- 全然反応していないキーワードを排除する
- 考慮に入れていなかったキーワードを追加する
といった判断が可能になるのです。
例えば「カフェ ノートパソコン」というキーワードで広告出稿していたら、
「おしゃれな ノートパソコン」という検索語句で検索していたユーザーからクリックがあった。
そんなことまでわかるのです。
自社ではまったく思いつきもしなかった。
そんなキーワードを、実際に広告出稿することで、拾うことができます。
そのために最初は大きな網を投げ込むのです。
ステップ3:マッチタイプを調整して最適化
分析結果に基づいて、キーワードとマッチタイプの組み合わせを最適化します。
例えば「中古車 買い取り おすすめ」でよくクリックされていたなら、
このキーワードにピンポイントで広告を届けるようにする。
「中古車 おもちゃ」というワードでクリックされてしまっていたなら、
それを除外キーワードとして設定する。
リスティング広告ではたいていクリックすると課金されるので、
100%成約の見込みがないクリックは広告費の無駄だからです。
以上が運用の基本の流れになります。
ではいよいよ3種類のマッチタイプについて、
つまり網の大きさの調整の仕方について説明します。
3種類のマッチタイプ
マッチタイプには3種類あります。
- 完全一致
- フレーズ一致
- 部分一致(インテントマッチ)
の3つです。
上から網の大きさが小さく、
下が大きいです。
つまり、完全一致は一番網の大きさが小さく、
部分一致が一番網の大きさが大きいんですね。
だから広告出稿の一番最初に部分一致でやるわけです。
完全一致
完全一致とは広告主が設定したキーワードとほぼ同じ意味を持つ検索語句に対して、
広告を表示する設定のことです。
角括弧[キーワード]で囲んで設定します。
完全一致は一字一句同じにしなければならないと思い込んでいませんか?
僕は思い込んでいました。
実際に2017年までは、そのままの意味で完全一致でなければいけなかったようです。
けれども現在、こちらのGoogle広告ヘルプによると、多少の表記ゆれは大丈夫なようです。
いや、それどころかかなりの柔軟性を持っています。
この変更を理解していないと、以下のような問題が発生します:
- 無駄なキーワード登録:「マンション 購入」「マンション購入」「マンション 購入」など、不要な表記ゆれを大量登録
- 予算の分散:同じ意味のキーワードが複数あることで、入札単価や品質スコアが最適化されない
- 管理工数の増大:本来1つで済むキーワードを何十個も管理する手間
このように現在の仕様を理解していないと、
実害があります。
以下に例を示します。
単語の順序や前置詞の有無が異なる場合
- 設定キーワード:
[中古車 買取]
- 広告が表示される検索例:
買取 中古車
同義語や類義語の場合
- 設定キーワード:
[東京 レストラン]
- 広告が表示される検索例:
東京 飲食店
スペルミスや表記のゆれの場合
- 設定キーワード:
[英会話 スクール]
- 広告が表示される検索例:
英会話 すくーる
、英会話 教室
単数形・複数形、略語、アクセント記号の有無など
- 設定キーワード:
[ランニング シューズ]
- 広告が表示される検索例:
ランニングシューズ
、running shoes
完全一致はユーザーの検索意図と広告がマッチしやすいです。
そうなるとクリック率も成約率も高くなります。
つまり、費用対効果が高いです。
しかし表示機会が少ないです。
そのため、新しいキーワードの発見が難しくなります。
完全一致の使いどころは例えば以下の通りです。
- すでに成果が出ているキーワードでピンポイントに狙いたいとき
- 自社のブランド名や商品名で検索しているユーザーを狙いたいとき
フレーズ一致
広告主が設定したキーワードと同じ意味を持つ語句に加え、
キーワードの間に別の言葉が入っている場合に広告を表示するマッチタイプ。
完全一致と部分一致のバランス型。
設定する際は
"キーワード"(二重引用符)
で囲む。
以下に例を示します。
設定キーワード: "中古車 買取"
広告が表示される検索例:"中古車 買取"
中古車 買取 おすすめ
(キーワードの後ろに言葉が追加)中古車を高く買い取ってもらう方法
(キーワードの間に言葉が追加)中古車 査定 買取
(キーワードの前後に言葉が追加)買い取り 中古車
(語順が異なる場合)中古車 買い取り
(同義語の場合)
どんなとき使うか?
運用初期:
ある程度ターゲットのキーワードが絞れているとき、
絞りつつもキーワードの広がりを探りたい。
完全一致で成果が出ているキーワードを拡張:
既に完全一致で成果が出ているキーワードの周辺キーワードを狙いたい。
予算に限りがあるような人なら、部分一致よりもおすすめ。
予算の無駄遣いを避けつつ、ある程度のユーザーを取り込めるから。
部分一致
広告主が設定したキーワードと関連性が高いものに広く広告を表示するマッチタイプ。
以下に例を示します。
設定キーワード: 中古車 買取
広告が表示される検索例:
中古車 査定
(同義語・類似語)車を売る
(検索意図が同じ)中古車 販売店
(関連するトピック)
3つのマッチタイプの中で、最も広告の表示範囲が広いです。
よって、それだけ新しいキーワードが発見できます。
しかしそれだけに無駄なクリックが多いので、
それだけ予算が削られます。
もちろんそれは新しいキーワードを得るための必要経費なので、
無駄ではないのですが、やはり予算的には痛手となるでしょう。
どんなとき使うか?
運用初期の調査:
どんなキーワードが効果的なのかデータがない段階でつかう。
とりあえずテストしてみて、ユーザーのニーズを探る
キーワードリストの拡大:
新しいキーワードを発見したいとき
潜在顧客へのアプローチ:
将来顧客になりうる層へアプローチしたいとき。
*** 補足・脱線 ***
部分一致はGoogle広告においてインテントマッチと名称が変更されました。
インテント(Intent)とは意図、目的と言う意味です。
AIと機械学習の進化によって、検索クエリの「背後にある意図(インテント)」をより正確に理解できるようになったからだそうです。
従来の部分一致という名称では、単にキーワードの一部が一致すれば広告が表示されるというイメージだでした。
しかし、近年ではその裏にある文脈や意図を深く読み取れるようになっています。
そのことを反映させるために、インテントマッチという名称に変更したそうです。
*** 補足・脱線終わり ***
まとめ
リスティング広告では正しいキーワード選定が命です。
そのためにはキーワードとマッチタイプの相互作用が必要です。
キーワードはどこに網を投げるか決めること
マッチタイプは網の大きさを決めること。
この二つを継続的に、車の両輪のように運用することで、
どんなキーワードが効果があるのか?
どんなキーワードで広告費を無駄にしているのか?
それがわかるようになります。
そのことを意識してリスティング広告をしてみてください。